DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む際の補助金活用のポイントと注意点

補助金活用

ここ数年間、新型コロナウイルスの影響、世界情勢の変化、原材料の高騰や人材不足など、様々な要因により、中小企業を取り巻く状況は時に厳しいものになっています。
そのような中、各企業において、ビジネスモデルの転換、販路拡大、生産性向上、業務効率化等のため、新たな設備やデジタルツールの導入などを検討することがあると思います。
その際、費用の一部について、国や自治体の補助金や助成金で賄うことが出来ればと考える企業も多くあるでしょう。
補助金等を活用するためには、検討・調査、申請、実施、報告に少なくない時間を費やすことになります。
そこで、今回は、DXの取り組みに活用できる補助金と活用の際の注意点について、まとめます。

目次 

  1. DXの取り組みで利用できる主な補助金
  1. 補助金等活用の際に注意すること  
  1. まとめ

1. DXの取り組みで利用できる主な補助金

補助金等には、国が実施しているものと地方自治体が実施しているものがあります。
地方自治体については、県や市町村のホームページで確認ができます。あるいは、下記のサイトのように、活用できる補助金・助成金をまとめているサイトを使うのも良いと思います。

中小機構「支援情報ヘッドライン」
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html
(カテゴリーで「補助金・助成金・融資」にチェックを入れ、調べたい県を選択すると出てきます。)

本コラムでは、国が実施している補助金等について、いくつかご紹介いたします。
年度ごとに制度自体や要件等が変更の可能性がありますので、都度確認されることをおすすめします。
複数回公募がある場合、公募ごとに変更点があることもあります。

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者がITツール導入に活用できる補助金で、さまざまな業種で活用されています。
2023年6月現在の情報では、取り組み内容によって以下の枠が用意されており、それぞれ補助額、補助率や補助対象などが異なります。

  • 通常枠(A・B類型)
    生産管理、顧客管理、勤怠管理など、さまざまなITツール導入により生産性向上や業務効率化を支援するもの
  • セキュリティ推進対策枠
    サイバー攻撃等が事業に与えるリスク低減の取り組みを支援するもの
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
    会計ソフトや受発注ソフト等の経費の一部を補助し、インボイス対応も見据えた企業間取引のデジタル化を推進するもの
  • デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
    複数の企業が連携してITツール導入を行い、生産性向上を図る取組を支援するもの
  • デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
    生産性向上及びインボイス制度への対応を促進するため、発注者の費用負担により導入されるITツール導入費用の一部を補助するもの

IT導入補助金では、23年度より、交付申請前に「みらデジ経営チェック」を行うことが必須となっています。
また、「gBizIDプライムアカウントの取得」、「SECURITY ACTIONの宣言」など申請前に必ず行わなくてはならないことがありますので、詳しくは、以下をご確認ください。
https://www.it-hojo.jp/applicant/how-to-apply.html

IT導入補助金2023
https://www.it-hojo.jp/

ものづくり補助金
(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など、中小企業・小規模事業者が制度変更等へ対応するために行う設備投資等の取り組みを支援します。
以下の申請枠があります。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

この中で、DXの取り組みに関係するものとして、「デジタル枠」を紹介します。
“DXに資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援”するもので、デジタル技術を活用した遠隔操作や自動制御などの機能を持つ製品・サービスの開発、AIやロボットシステムの導入による生産プロセス改善などの取り組みを対象としています。
助金額は従業員数により上限が異なり、100万円~最大で1,250万円となります。補助率は2/3です。

ものづくり補助金総合サイト
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

事業再構築補助金

ウィズコロナ・ポストコロナの時代における経済社会の変化へ対応するため、思い切った事業再構築に意欲を持った中小企業等の挑戦を支援するものです。新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等の取り組みが対象となります。
申請枠は以下の通りとなっています。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • サプライチェーン強靱化枠

この中で、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、クラウドサービス利用費、外注費、広告宣伝・販売促進費など、DX推進の取り組みに関わる経費が支援対象となる可能性があります。

事業再構築補助金
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

2. 補助金等活用の際に注意すること  

上記のような補助金等を活用するためには、社内の取り組み検討や調査、提出書類の作成などさまざまな準備が必要です。
それらを自社で進める場合、以下の点に十分に注意する必要があります。

申請期限をチェック!早めに申請を行う

まずは、補助金等のサイトにある「公募要領」「交付申請の手引き」等を確認し、申請の締め切り日を確認します。
年度に1回のものもあれば、複数回募集しているものもあります。
物によっては、予定数に達した場合、早めに申請を締め切ってしまう場合がありますので、受付開始から速やかに申請を行った方が良いでしょう。

実施期間に注意! 

補助金等の対象となる事業の開始は、「交付決定日から」などと要領に記載があるはずです。その前に始めてしまったものについては、対象外となるので注意しなければなりません。
また、事業は実施期間内に完了することが必要になります。期間内に終わっていなければならないこと(例えば、支払い関係、報告書の提出など)を十分に確認することが必要です。

対象外の経費も…

要領や手引きの「補助対象経費」のところで対象となる経費を確認しますが、「〇〇の経費は対象外とします」という文言があります。対象外となる経費についても、よく注意しておかなければなりません。
社内検討の段階で「このようなケースは当てはまるのか?」と疑問に思った時は、「よくある質問」を確認すると同様の経費について、回答がされていることがあります。それでも不明点がある場合は、各窓口となっている連絡先へ確認をおすすめします。

提出書類の確認は十分に

事業が適切に行われたことを証明するために、報告書等指定のフォーマットに記載するものや、支払い関係の書類等、さまざまな書類を提出することになります。その中の1つでも不足や不備があると、それだけで補助金等が認められなくなる可能性があります。
例えば、一部の書類の日付が事業実施期間を過ぎたものになっていれば、それは実施期間内に事業が完了していない、と見なされてしまいます。
実際はきちんと事業が行われていたとしても、証明するものは「書類」であることに気をつけていただければと思います。

その他にも、注意すべき点については「公募要領」や「マニュアル」等に記載がありますので、掲載されている文書は十分に確認された方が良いでしょう。
そのような時間が無い、内容がよくわからない、自社の担当者だけでは不安…といった場合は、専門家に相談することをおすすめします。

3. まとめ

これまで述べてきた事柄について、まとめると以下の通りになります。

まとめ

  • 補助金等には、国が実施しているものと地方自治体が実施しているものがあるが、年度ごとに制度自体や要件等が変更の可能性がある。
  • DX推進の取り組みで活用できるものには、IT導入補助金、ものづくり補助金、事業再構築補助金などがある。
  • 申請や報告時には、「申請期限」「実施期間」「対象外経費」「提出書類の不備」に注意する。 

弊社では、お客様の解決したい課題により、補助金等が活用できる可能性があれば、ご案内をしております。
また、対象事業の期間に合わせてスケジュールを組むことも可能ですので、まずは、気軽にお問い合わせください。